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「カードキャプターさくら」の恋愛は純粋すぎてたまに残酷

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こんにちは、つっきーです。

実は「カードキャプターさくら」の大ファンです。

世代ではないのですが、漫画は全巻持っていますし、アニメも全話視聴済みです。レンタルビデオ屋で借りました。そう、当時はまだDVDがありませんでした。とても懐かしい。

現在、2018年から放送開始のクリアカード編をわっくわっくしながら待つ日々を送っています。

この胸の高鳴りの発端は去年6月。カードキャプターさくら(以下CCさくら)の新シリーズ連載開始・アニメ放送予定のお知らせと、怒涛の猛攻撃。

もう何と表現すればいいのか……。
公式様々です。


あざまっっっっす!!!!


そんなわけで復習も兼ね、改めてアニメを見返したんですけど、もう恋愛事情がすごい! はしからはしまでとにかくすごい! 悪い意味じゃなくて!

恋愛においてマイノリティと呼ばれるタイプがありますが、この漫画(とアニメ)ではそんなの一切関係なし。

ひたすら純粋です。悪意は全て取り除かれている優しい世界です。何だろう、この世の全てに寛容になれます。

ですがあまりにも純粋すぎて、いっそ残酷に思えたシーンもあったりします。悪意がカケラもないだけによりつらい……。


「恋愛事情がおかしい」「カオス」などと言う方もいらっしゃいますが、そういう野暮なのはナシで、原作・アニメでの恋愛関係について振り返ります。

ネタバレを多く含んでいるので、ある程度ストーリーを理解している方・ネタバレを気にしない方におすすめです。

さくらと知世


主人公のさくらちゃんと、その友人・知世ちゃん。本編ではいつも仲良しで微笑ましいです。放課後・休日に、家に遊びに行くことも多いみたい。

一方、バトルシーンでは危険を恐れず、さくらちゃんの勇姿を撮影する知世ちゃん。

怪我をしないのが奇跡なレベルです。

どうかクリアカード編でも無事でありますように。


さらに注目すべきは、さくらちゃんが着用しているバトルコスチュームの製作者であることです。

採寸・デザイン・製作、その全てをこなす知世ちゃんは小学生のレベルをはるかに超えた技術の持ち主です。

あの超絶可愛らしいさくらちゃんが見られるのは、知世ちゃんの努力のおかげと言っても過言ではないでしょう。

ありがとう、知世ちゃん。



2人は親友?


このように素晴らしい友情を見せてくれる2人ですが、それだけにはとどまりません。

知世ちゃんはさくらちゃんを愛しているのです。
そう、友達以上として。

こちらの描写、アニメではやや控えめで、上手にぼかされています。やはりテレビで堂々と流すわけにはいかなかったのでしょうか。

しかしはっきりと彼女の愛を確認できるのはアニメ50話「さくらと小狼と見えない糸」。

伝説の回です(私の中で)。


あらすじはこう。

好きな人に自分の名前をつけた手作りクマのぬいぐるみを贈ると両思いになれる。そんな話を聞いたさくらは、みんなと手芸店に向かいます。

しかし知世はくまさんキットを買いません。何故買わないのかと尋ねると、彼女からこんな返答がありました。


「大好きな方が私と両想いになるより幸せになることがあるなら、ずっと幸せでいてほしいですわ。大好きな人が幸せであることが、一番の幸せなんです」


そして、さくらを優しい笑顔でじっと見つめます。

まさに聖母。

誰よりも大好きなさくらの幸せを、誰よりも願っているのです。そのためなら、自分のことを好きになってもらえなくても構わない、そう断言しました。

彼女の愛は見返りを求めていません。
これ以上ないほど純粋です。

人間、多少は見返りを求めます。「愛してる人に私のことを愛してほしい」という気持ちが、多かれ少なかれあるはずです。

ですが知世ちゃんは、さくらちゃんの幸せを1番に考えていて、それが彼女にとっての幸せ。

要するに知世ちゃんの考える「愛」とは、大好きな人の幸せを守り続けることなのです。

そして、その後のさくらの返事。じっと見つめる知世を数秒見つめ返し、こう言います。


「知世ちゃんに好きになってもらえた人は幸せだね」


さくらの本心からの言葉。この一言で、知世ちゃんは報われたことでしょう。

大好きなさくらちゃんが、自分に想われて幸せだと公言したのです。知世ちゃんからすれば1番嬉しい答えですよね。

同時に、悲しくもあります。どれだけ深く愛していても、さくらちゃんにとって知世ちゃんは「大親友」なのです。

たとえ知世ちゃんがそれを幸せだと感じていたとしても、切ない関係です。



優しい世界


CCさくらでは、相手が女だから、男だから、恋をしてはいけないというルールはありません。

同性どうしで愛し合っても批難する人はいない、優しい世界です。

しかし裏を返すと残酷でもあります。

さくらちゃんにとって知世ちゃんが恋愛対象外なのは、「女の子だから」ではないのです。

たとえ知世ちゃんが男の子に生まれていようと、さくらちゃんは雪兎さんに憧れたし、小狼くんと結ばれていました。


つまりどんなルートを辿っても、知世がさくらと結ばれることはありません。


けれど知世ちゃん自身は、さくらちゃんの大親友であることを幸せに思っていて、それを見守れる自分に喜びを感じているのです。



雪兎とさくら


雪兎さんは高校2年生。お兄ちゃんの親友で、よく家に遊びにきます。

ふんわりとしていて、いつでも優しい雪兎さん。そんな彼に恋するさくらちゃんは小学4年生。

幸せのあまり「はにゃ〜ん」となってしまうシーンは本当に可愛いです。

雪兎さんと結ばれるために、健気なアピールを続けるさくらちゃんには、「恋する乙女」という言葉がピッタリ。


しかし事件発生。

雪兎さんは人間ではありませんでした。

真実を知ったさくらちゃんは呆然とします。アニメ46話「さくらと最後の審判」の冒頭は必見。さくらちゃんの悲痛な声が胸に刺さります。

しかし全てを知った後も、さくらちゃんは雪兎さんに恋し続けました。彼女にとって「人間ではない」ことは問題ではないのです。



優しさが含む残酷さ

アニメ66話「さくらの1番好きな人」でついに告白。文化祭の出し物である「星の道」の中でした。

雪兎さんは笑ったり馬鹿にしたりはしません。小学生のさくらちゃんにも、真摯な態度で返事をします。


「でも、さくらちゃんの1番は僕じゃないから」


後ろからガツンと殴られたようで、一瞬息が止まりました。しかも雪兎さんの声があまりにも優しいから余計につらい。


「さくらちゃん、お父さんのこと大好きだよね?」

「はい……」

「僕のこと……」

「好きです」

「その気持ちって同じじゃない?」


藤隆さん(お父さん)と雪兎さんの雰囲気がとても似ているから、そう思ってしまうのだろうと説明します。

さくらちゃんは泣きませんでした。雪兎さんを困らせたくない一心だったようです(のちに小狼くんの前で涙を見せます)。

しかし66話のラスト。


「でもね……そうじゃない好きも雪兎さんにはあったの」


憧れ以上の気持ちもちゃんとあったようです。この時点では、雪兎さんは見抜けていなかったのではないかと思ったのですが……。

アニメ67話「さくらと小狼と月峰神社」で雪兎さんは「さくらちゃんが僕を想ってくれていた気持ちは、お父さんへの気持ちと全部同じわけじゃないって分かってた」と述べます。

その上でこの返事。さくらちゃんのことを本当に大切に思っていることが伝わってきます。 きっとさくらちゃんもそれを理解しているでしょう。


ですが、ある意味で残酷です。


たとえばあなたが数年間憧れ続けた人に告白したとして、その返事が「僕はあなたの1番じゃない、きっとあなたが1番好きになれる人が見つかるよ」だったら?

こっちとしては「それって誰だよ!?」「きっとっていつだよ!」ってなります。いっそ普通に「ごめんなさい」ってフッてくれた方が諦めもつきます。


だって「今好きなのはあなた」なんですから。


つまり当人からすれば大切なのは「今」だけど、相手や周囲の人からすれば、相手を想うほどに「将来」を心配する。

これも愛の1つではありますが、当人とのすれ違いが非常に激しいです。


でも「さくらちゃんが子供だと思ってはぐらかしているんじゃないよ」という言葉にはほっとしました。

最終的にはさくらちゃんも、1番好きな人を見つけることができました。悲しみを乗り越えることができて本当に良かったです。




桃矢と観月先生

この2人も上の2人とほぼ同じパターンと言えるでしょう。こっちはもう終わってしまった、過去の恋愛です。

当時中学生だった桃矢くんと、教育実習性の観月先生。生徒×先生と捉えることができます。

1年間付き合いましたが、観月先生が突然「明日から留学する」と告げ、別れを切り出しました。

「やることがある」「次会った時はお互い大切な人ができている」とのことでしたが、桃矢くんの不服そうな顔が印象的。

のちの桃矢くん曰く、「本当にそうなった」そうです。こちらも本当に大切な人を見つけることができました。




桃矢と雪兎

アニメでは控えめ。原作でも明言はされていませんが、ほのめかされてきます。

CLAMP先生曰く「桃矢と雪兎の関係は友情でも恋愛でも好きな方にとってくれていい」。

恋愛関係というよりも、かけがえの無い大切な人といった感じです。言葉では表しにくいですが、確かな繋がりがあります。

とても素敵。こちらの2人は「温かい関係」というイメージが強くて、タイトルの残酷さは感じません。

つ、ついでに書いただけだもん! タイトル忘れてるわけじゃないもん!!




まとめ

どんどんタイトルからズレていきそうな気配がするので、この辺りでまとめに入ります。

基本的にCCさくらの恋愛はひたすらピュアだと思っています。ですが改めて見ると、一種の残酷性が浮かび上がってきて……。

ちょっと切ない気持ちになりますが、そんなところも含めてCCさくらが大好きです。


ここまでは全てクロウカード編・さくらカード編の内容です。

CCさくらの新作、クリアカード編は2018年1月からの放送となります。

原作となる単行本は2018年5月の時点で、4巻まで発売されています。

以前の雰囲気は残しつつ、今風になった絵柄がとても可愛らしいので、未購入の方はぜひチェックしてみてください。

一言でいうと、小狼くんが王子様です。



では、最後まで読んでいただきましてありがとうございました!

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